ベンペド酸によるLDLコレステロール低下作用(スタチン療法への上乗せ効果)

ベンペド酸によるLDLコレステロール低下作用(スタチン療法への上乗せ効果)



ベンペド酸によるLDLコレステロール低下作用に関する報告が2019年3月14日付のThe New England Journal of Medicineに掲載されました。被験者は既存でスタチンの最大容量を服用しており、それに上乗せしてベンペド酸を追加したときにコレステロールの低下作用が確認されたとまとめられております(第三相試験)。以下に今回の報告内容の概要とベンペド酸の薬理作用、第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験に関する情報をまとめました。

ベンペド酸によるLDLコレステロール低下作用(第三相試験の概要)


被験者


アテローム性動脈硬化・家族性コレステロール血症(ヘテロ)またはその両方をもつ患者2230名。被験者は既存で最大耐用量のスタチン療法を受けており、それに上乗せする形でベンペド酸を服用した場合の有効性・安全性について調査が行われました。(52週中12週目のLDLコレステロールレベルに関する報告です)

ベンペド酸によるLDLコレステロール低下作用(第三相試験)

結果


被験者2230名中、1488名がベンペド酸を服用し、742名はプラセボ(偽薬)を服用するよう割り当てられました。

ベンペド酸服用群のLDLコレステロール値の平均変化(服用から12週目時点)

103.2mg/dl→84mg/dl(19.2mg減少を確認、ベースラインからの変化は-16.5%、対プラセボとの変化率:-18.1%)

最大耐用量のスタチン療法に追加してベンペド酸を服用することは、LDLコレステロール値を有意に減少させる結果となりました。

有害事象


ベンペド酸服用群:1167人/1487人(78.5%)

プラセボ服用群:584人/742人(78.7%)


重篤な有害事象


ベンペド酸服用群:216人/1487人(14.5%)

プラセボ服用群:104人/742人(14.0%)

両群間での有害事象の発生率に有意差はありませんでした。



投与中止に至る有害事象発生率


ベンペド酸服用群:162人/1487人(10.9%)

プラセボ服用群:53人/742人(7.1%)



痛風発生率


ベンペド酸服用群:18人/1487人(1.2%)

プラセボ服用群:2人/742人(0.3%)

ベンペド酸がLDLコレステロール低下させる薬理作用




ベンペド酸はATPクエン酸リアーゼ(ACL)のはたらきを阻害することでLDLコレステロールの合成を抑えるはたらきがあります。



ATPクエン酸リアーゼは肝臓や白色脂肪組織などの脂質を合成する組織に多く発現している酵素です。ヒトのコレステロール生合成経路は以下の図のようにクエン酸とATPとCoAからアセチルCoAを生成することが起点となるわけですが、ATPクエン酸リアーゼは、この合成段階を阻害することで、LDLコレステロールの合成を抑制する働きがあります。


bempedoic-acid
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効性の高いスタチン系製剤は、筋肉関連の副作用(横紋筋融解症な)が知られているため、最大用量で処方することが懸念されるという背景もある薬です。ベンペド酸は現在第三相試験が行われている製剤ですが、スタチン系と比較して、“筋肉関連の副作用が少ない”という現在の報告が維持されるのであれば、臨床上非常に有用な薬剤となる可能性を秘めています。

ベンペド酸によるコレステロール低下作用の報告(第Ⅰ相試験、第Ⅱ相試験を含む)



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